スペインワインのこと。ポルトガルワインのこと。

 

 

 

歴史


B.C.1100年頃

古代ギリシャ人やフェニキア人が、現在のカディスに到達。へレス周辺や地中海沿岸地域でワインを造り始めた。

B.C.200年頃

ローマ帝国がイベリア半島を征服し、古代ローマ人がスペインの地でワイン造りを開始。

711年

イスラム教徒ムーア人がイベリア半島侵入、ブドウ畑が破壊される。

1000年代後半

レコンキスタ(国土回復運動)により、ワイン生産が再開し始める。

1230年

レオン王国とアラゴン王国が統一。

1492年

ムーア人をスペインから追放。レコンキスタ終了。ワイン生産増加。クリストファー・コロンブスが、ワイン産地D.O. コンダード・デ・ウエルバの港町、パロスからインド(インディア)を目指し出航した。

1450年頃から1650年頃まで

大航海時代。ワイン生産も全国で盛んに。

1700年代

英国商人によりシェリー生産生産体制が整備される。

1800年代後半

フィロキセラ被害を受けたフランス・ボルドー地方の生産者達が、彼らの醸造方法を持ち込みリオハでワイン生産を始める。

1872年

初めてのカバ生産、誕生。

1926年

リオハ原産地呼称統制委員会設立。

1932年

ワイン法(Estatuto del vino)制定(フランスのAOC法制定より早い。後者1935年)。

1933年

ワイン法発効。

1950年代から1970頃まで

旺盛なワイン需要を満たすため、大量供給が可能な協同組合が各地で作られた。育てやすく大量の実をつける品種が好まれた。

1970年

INDO(原産地呼称超、後に品質呼称局と改名)が設立。

1975年

独裁フランコ政権が終わり鎖国状態から抜け出す。ワイン産業は量から質へと転換。

1986年

EC(現在のEU)加盟。ECワイン法の適用。ワインの国際化が進む。

1991年

リオハが初のD.O.C.aに認定される。

2009年

プリオラートがD.O.C.aに認定される。

 

原産地呼称制度・品質分類

スペインワインは、2009年のEUワイン法改定に伴い、以下のように品質分類されている。

 

wine_graph2

主なブドウ品種


黒ブドウ

ブドウ名/主な産地/特徴

Tempranillo
テンプラニーリョ

リオハ、リベラ・デル・デュエロ、ナバーラ、ラ・マンチャ

スペインを代表する高貴品種。タンニン、酸度高く長期熟成に耐えられる。

Bobal
ボバル

バレンシア、ウティエル・レケーナ

起源は中世までさかのぼる。豊富な量の実をつけ濃厚な色。

Garnacha Tinta
ガルナッチャ・ティンタ

ナバーラ、プリオラート、アラゴン地方

アラゴン地方原産。糖度高い。

Monastrell
モナストレル

アリカンテ、フミーリャ、イェクラ

果皮が厚く、果肉はしっかりしている。

Mencia
メンシア

ビエルソ、バルデオラス

タンニンや酸は少ないが、フレッシュさをが引き立つ。

Tinta de Toro
ティンタ・デ・トロ

トロ、サマラ

テンプラニーリョの別名。

Cariñena = Mazuelo
カリニェナ = マスエロ

カタルーニャ、ペネデス、アラゴン地方

ガルナッチャ・ティンタとブレンドされることが多い。

Prieto Picudo
プリエト・ピクード

ティエラ・デ・レオン

強さを感じるも、柔らかいタンニンが特徴。

Listán Negro
リスタン・ネグロ

カナリア諸島

赤のパロミノバージョン。酒精強化ワインに使用される。

Graciano
グラシアノ

リオハ、ナバーラ

リオハ、ナバーラの補助品種

 

白ブドウ

ブドウ名/主な産地/特徴

Airén
アイレン

ラ・マンチャ

面積スペイン最大

Macabeo=Viura
マカベオ=ビウラ

カタルーニャ地方、アラゴン地方、リオハ

カバに使用される。リオハ白。フレッシュで軽め。酸度やや高い。

Palomino Fino
パロミノ・フィノ

へレス、コンダード・デ・ウエルバ

シェリーの主要品種。

Verdejo
ベルデホ

ルエダ、ラ・マンチャ

フレッシュでフルーティー

Moscatel de Alejandría
モスカテル・デ・アレハンドリア

マラガ、バレンシア

マラガでは酒精強化ワインに使用される。

Pedro Ximénez
ペドロ・ヒメネス

モンティーリャ・モリレス、マラガ

糖度が高い。収穫後日干しより凝縮させる。

Parellada
パレリャーダ

ペネデス、カバ、カタルーニャ

カバの主要品種。単一白ワインで造られることもある。

Xarello
チャレッロ

ペネデス、カバ、カタルーニャ

カバの3大品種の一つ。単一白ワインはボディがしっかりしている。

Malvasía
マルバシア

Albariño
アルバリーニョ

リアス・バイジャス

香り高く、酸味も豊富。

Godello
ゴデーリョ

バルデオラス、ビエルソ

ミネラルのある複雑な味わい。

Garnacha Blanca
ガルナッチャ・ブランカ

アラゴン地方、ナバーラ

熟成ワインの分類

D.O.Ca.,D.O., V.C.I.Gの熟成期間分類(シェリー、カバを除く)
樽の容量上限は330ℓ。
wine_graph2

CAVAカバ

Cava カバとはカタルーニャ語で「洞窟」の意。カバは産地・品種・製法が規定されているスパークリングワインで、D.O.(原産地呼称ワイン)に分類される。

樽の容量上限は330ℓ。

カバのタイプ、味わい、1ℓあたりの補糖量

Brut Nature
ブルット・ナトゥーレ

超ドライ
3g以下。糖分添加ではなく、自然の残留糖分
Extra Brut
エクストラ・ブルット

超ドライ
6g以下。
Brut
ブルット

ドライ
15g以下。
Extra Seco
エクストラ・セコ

ややドライ
12g〜20g
Seco
セコ

ほんのりドライ
17g〜35g
Semi Seco
セミ・セコ

ドライ半減
33g〜50g
Dulce
ドゥルセ

甘口
50g以上

スペインの酒精強化ワイン


スペイン南部アンダルシア地方やアリカンテ一部マリナ・アルタ地域で造られている。

 

産地と特長

D.O. Jerez-Xérès-Sherry
へレス・セレス・シェリー

ソレラシステムにて、パロミノ品種主体により、フィノ、アモンテリャード、オルロソに分けられます。

D.O. Mazanilla-Sanlúcar de Barrameda
マンサニーリャ・サンルカール・デ・バラメーダ

サンルカール・デ・バラメーダのみで熟成が許されるフィノタイプと同等の造り。

D.O. Condado de Huelva
コンダード・デ・ウエルバ

上記D.O.へレスと同じソレラシステムで熟成される。ただパロミノ種に加え、土着品種ガリード・フィノをブレンドする。

D.O. Montilla-Moriles
モンティーリャ・モラレス

ペドロ・ヒメネスを使用。高い糖度で摘まれ、酒精強化をせずにソレラシステムでへレスタイプのワインが造られる。

D.O. Málaga
マラガ

ペドロ・ヒメネスを主体にした酒精強化ワインや、モスカテルを日干しして造るデザートワインがある。

D.O. Alicante
アリカンテ

モスカテルで造られる酒精強化の甘口ワインがマリナ・アルタ地域で造られている。

 

ソレラシステム

solera

①発酵が終わると酒精強化された新酒は、クリアデラというセラーへ運ばれる。

②セラーには熟成用の樽が3段、あるいは4段に積み上げれており、新酒は最上段の樽に貯蔵される。

③その樽の一部が、2段目に移され、2段目の樽から一部が、3段目へというように同じことが繰り返される。

④最下段のソレラからは1/3の量が取り出されタンクに移される。

⑤均等にブレンドされ、瓶詰めされる。

 

歴史


B.C. 5世紀頃

フェニキア人、カルタゴ人によってワイン文化が伝えられた。

700年〜1100年頃

イスラム教徒の支配によろワイン造り停滞。

1143年

ポルトガル王国設立。ワイン文化が盛んになる。

1500年半ば

日本へワインを伝える

1600年代後半

ポートワイン誕生

1700年代前半

マデイラワイン誕生

1756年

セバスティアン・ジョゼ・デ・カルヴァーニョ首相により、ポートワイン生産用のブドウ畑が認定された。

1900年

パリ万博にてダンDãoワインが金賞受賞。

1972年〜1974年

独裁政治によるワイン輸出が一部ワインを除き低迷。

1974年

「カーネーション革命」にて独裁政治終焉。

1986年

EC(現在のEU)に加盟。それに伴い、ワイン品質分類規制も他欧州ワイン原産国に同様に。

2008年

ポルトガルワイン品質分類改訂。

品質分類

2008年に品質分類され、以下のように分けられる。

 

wine_graph2 (1)

ワイン生産地

1.ブセラス Bucelas

2.コラレス Colares

3.セトゥーバル etúbal

4.カルカヴェロス Carcavelos

5.アレンケール Alenquer

6.トーレス・ヴェドラス orres edras

7.アルーダ Arruda

8.オビドス Óbidos

9.ロウリニャン Lourinhã

10.テージョ ejo

11.エンコスタス・デ・アイレ Encostas de Aire

12.バイラーダ Bairrada

13.ラフォインス Lafões

14.ヴィーニョ・ヴェルデ inho erde

15.トラズ・オス・モンテス rás-os-Montes

16.ポルト Porto ドウロ Douro

17.タヴォラ・ヴァローザ ávora-arosa

18.ダン Dão

19.ベエラ・インテルオール Beira Interior

20.アレンテージョ Alentejo

21.パルメラ Palmela
22.ラゴス Lagos

23.ポルティマン Portimão

24.ラゴア Lagoa

25.タヴィラ avira

26.マデイラ Madeira マデイレンス Madeirense

27.グラシオーザ Graciosa

28.ビスコイトス Biscoitos

29.ピコ Pico

portugal

主なブドウ品種


黒ブドウ

ブドウ名/主な産地/特徴

Touriga Nacional
トゥーリガ・ナシオナル

ドウロ等北部、ダン、テージョ、アレンテージョ、アルガルべ

ポルトガル全域で栽培。厚い果皮で、タンニン豊富。素晴らしい構造で長期熟成可能。

Touriga Franca
トゥーリガ・フランカ

ドウロ中心

トゥーリガ・ナシオナル、ティンタ・ロリスとのブレンドされる。滑らかで柔らかいタンニンが特徴。

Tinta Roriz
ティンタ・ロリス

ドウロ、ダン

アラゴネス/Aragonezとも言う。スペインのテンプラニーリョ。

Alfrocheiro
アルフロチェイロ

ダン

アルコール、酸、タンニンのバランスが良い。

Jaen
ハエン

ダン

病害に強い。

Tinta Barroca
ティンタ・バロッカ

ドウロ

ポートワインに使用される。ポートワイン公式推奨5品種の中の一つ。

Tinto Cão
ティント・カン

ダン、ドウロ

濃く厚い果皮・豊富なタンニン。熟成が遅く、生産量は少ない。

Borraçal
ボラサル

ヴィーニョ・ヴェルデ

Vinhãn
ビーニャン

ヴィーニョ・ヴェルデ

Azal Tinto
アザル・ティント

ヴィーニョ・ヴェルデ

 

白ブドウ

ブドウ名/主な産地/特徴

Loureiro
ローレイロ

ヴィーニョ・ヴェルデ

伝統的にはアルヴァリーニョやトラハドゥーラとブレンドされるが、最近では単一使用も目立つ。

Albarinho
アルヴァリーニョ

ヴィーニョ・ヴェルデ

生産量は低く、粒は小さい。芳香で力強い。

Arinto
アリント

各産地

快活な酸が特徴。

Trajadura
トラハドューラ

ヴィーニョ・ヴェルデ

低い酸度に高いアルコール度のワインとなる。

Verdelho
ヴェルディ-ニョ

マデイラ、アソーレス

酒精強化ワインに使用される。

Malvasia Fina
マルヴァジーア・フィナ

ドウロ、ダン、ベイラ・インテルオールや北部

スパークリングワインに使われることもある。

Encruzado
エンクルザード

ダン

糖度と酸度のバランスが良い。

Bical
ビカル

バイラーダ、ダン

フレッシュ、柔らかく、アロマティック。

Fernão Pires
フェルナン・ピレス

各産地

最も栽培されている品種。アロマティックさを与える。

Fernão Pires
フェルナン・ピレス

各産地

最も栽培されている品種。アロマティックさを与える。

Síria = Roupeiro
シリア = ロウぺイロ

アレンテージョ、ベイラ・インテルオール

房、粒ともに小さい。早飲み(若い)ワインとなる。

Boal
ボアル

マデイラ

Rabigato
ラビガト

ドウロ

粒が小さい。ミネラル、ほど良い酸としっかりしたストラクチャーが特徴のワインとなる。

ポルトガルの酒精強化ワイン


ポートワイン

ドウロ河上流で栽培されたブドウを原料としたワインで、まだ糖分が残っている発酵途中にアルコール度数77%ブランデーを添加し、 酵母働きを止めるが特徴。ポートワインアルコール度数19度~22度と規定されている。D.O.C.ポルトポートワイン大きく3つに分類することができる: hite/ホワイト、awny/トウニ-、uby/ルビー ホワイト・ポートみ白ブドウが原料。後者二つ黒ブドウから造られる。

ポートワインの分類

 

マデイラワイン

大西洋に浮かぶポルトガル領マデイラ島で造られる酒精強化ワイン。D.O.C.マデイラ 発酵途中に、ブドウを原料とした96度アルコールを添加します。発酵中ブドウ果汁エタノール濃度を 上昇させて酵母を死滅させることにより、強制的に発酵が止まります。発酵を止めるタイミングによって ワイン味わい(辛口⇔甘口)を決定付ける糖度調整を行います。
こ発酵、アルコール添加工程後、マデイラワイン造り以下2つ熟成方法に分かれます:

マデイラワインの分類

*原料や製法による分類
フラスケイラ
単一年、単一推奨ブドウ品種で造られる。最低樽熟成期間20年、瓶熟成期間2年。
コリエイタ
単一年のブドウ。ブドウ品種の規定は無い。樽熟成期間5年以上。瓶熟成不要。
リザーブ

エクストラ・リザーブ 熟成期間15年以上。

スペシャルリザーブ 熟成期間10年以上。

オールドリザーブ 熟成期間10年以上。

リザーブ 熟成期間5年以上。

全て複数年収穫ブドウをブレンド。

ファイネスト
3年間熟成されたワイン。
*甘さによる分類
辛口
セコ
中辛口
メイオ・セコ
中甘口
メイオ・ドセ
甘口
ドセ